地震保険の保険料

地震保険は国と民間の損害保険会社が補償を分担する公的な保険のため、原則としてどこの損害保険会社で加入しても補償内容、保険料等は同じとなっています(補償内容を手厚くする特約を除く)。
では地震保険の保険料はどのように決まっているのでしょうか?
※地震保険の保険金額は、「火災保険の30-50%、かつ、建物:5,000万円、家財:1,000万円」が限度となっています(⇒地震保険の保険金額)。
地震保険料を3段階で引き上げ | |
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地震保険料は各損害保険会社が共同で運営している損害保険料率算出機構が、地震調査研究推進本部(文部科学省の外部機関)が調査した「地震の発生確率や被害状況予測」から保険料を算出、決定し、金融庁に届けでて、金融庁の審査を通過すれば改定されます。
この地震保険料は2017年、2019年、2021年と3回にわたって段階的に引き上げることが決まっており、2017年1月1日から家庭向け地震保険料の新規契約分が全国平均で5.1%引き上げられました。
そして2回目となる2019年1月1日からは全国平均で3.8%引き上げる事が決まりました。
この3段階の保険料の引き上げ合計は14.2%の予定となっており、2017年(5.1%)と2019年(3.8%)で8.9%引き上げられているので、2021年は5.3%ほど引き上げられる事が予想されます(地震の発生確率、被害状況の試算によって引き上げ率は変わります)。
全国平均では保険料が上がりますが、地域によって引き上げ率には当然差があり、2019年は愛知、三重、和歌山など11の道府県では逆に保険料が下がります。
地震保険の保険料と建物の構造 | |
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地震保険の保険料は地域と建物の構造によって決まります。
地域は、いままでは「損害保険料率算出機構」が過去約500年間の地震の発生頻度、被害状況等から算出した、地震の危険度に応じて都道府県ごとに1-4等地までの4つの区分(等地)に分類し、その区分によって保険料に差がつくようになっていましたが、2007年10月1日より地震調査研究推進本部(文部科学省の外部機関)の「確率的地震動予測地図」から、保険料が算出されることになり、2014年7月1日からは1-3等地までの区分となっており、2017年1月1日から等地は再区分されています(最も危険⇒3等地、危険度が最も低い⇒1等地)。
住宅の建物の構造は、「耐火⇒イ構造(鉄筋コンクリート造・鉄骨造等)、非耐火⇒ロ構造(木造造等)」の2種類に分類され、地震によって被害を受けやすい、火災が起こりやすい非耐火(ロ構造)は保険料が高く設定されています。
2017年(平成29年)1月1日より、以下のように保険料が改定されています(新規契約、更新時に適用)。
保険金額1,000万円あたりの年間保険料(1年契約の場合) | |||
等地区分 | 都道 府県 |
耐火 イ構造 (鉄筋コンクリート造・鉄骨造等) |
非耐火 ロ構造 (木造造等) |
1等地 | 北海道 | 8,100円 | 15,300円 |
1等地 | 青森 | 8,100円 | 15,300円 |
1等地 | 岩手 | 6,800円 | 11,400円 |
2等地 | 宮城 | 9,500円 | 18,400円 |
1等地 | 秋田 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 山形 | 6,800円 | 11,400円 |
2等地 | 福島 | 7,400円 | 14,900円 |
3等地 | 茨城 | 13,500円 | 27,900円 |
1等地 | 栃木 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 群馬 | 6,800円 | 11,400円 |
3等地 | 埼玉 | 15,600円 | 27,900円 |
3等地 | 千葉 | 22,500円 | 36,300円 |
3等地 | 東京 | 22,500円 | 36,300円 |
3等地 | 神奈川 | 22,500円 | 36,300円 |
1等地 | 新潟 | 8,100円 | 15,300円 |
1等地 | 富山 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 石川 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 福井 | 6,800円 | 11,400円 |
2等地 | 山梨 | 9,500円 | 18,400円 |
1等地 | 長野 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 岐阜 | 8,100円 | 15,300円 |
3等地 | 静岡 | 22,500円 | 36,300円 |
2等地 | 愛知 | 17,100円 | 28,900円 |
2等地 | 三重 | 17,100円 | 28,900円 |
1等地 | 滋賀 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 京都 | 8,100円 | 15,300円 |
2等地 | 大阪 | 13,200円 | 23,800円 |
1等地 | 兵庫 | 8,100円 | 15,300円 |
1等地 | 奈良 | 8,100円 | 15,300円 |
2等地 | 和歌山 | 17,100円 | 27,900円 |
1等地 | 鳥取 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 島根 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 岡山 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 広島 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 山口 | 6,800円 | 11,400円 |
3等地 | 徳島 | 13,500円 | 31,900円 |
2等地 | 香川 | 9,500円 | 18,400円 |
2等地 | 愛媛 | 12,000円 | 23,800円 |
3等地 | 高知 | 13,500円 | 31,900円 |
1等地 | 福岡 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 佐賀 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 長崎 | 6,800円 | 11,400円 |
1等地 | 熊本 | 6,800円 | 11,400円 |
2等地 | 大分 | 9,500円 | 18,400円 |
2等地 | 宮崎 | 9,500円 | 18,400円 |
1等地 | 鹿児島 | 6,800円 | 11,400円 |
2等地 | 沖縄 | 9,500円 | 18,400円 |
例えば、
「東京都・耐火・保険金額1,000万円」の場合、
・「年間保険料⇒22,500円」
「東京都・非耐火・保険金額1,000万円」の場合、
・「年間保険料⇒36,300円」
となります(割引制度が適用されない場合の保険料)。
地震保険の割引制度 | |
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地震保険の火災保険加入者に対する付帯率は59.3%(全国平均:2014年度現在)、世帯加入率は28.8%(全国平均:2014年度現在)と、年々、火災保険に対する付帯率、世帯加入率は上がっていますが、世帯加入率は約3割とまだ低いのが現状です。
加入率が大きく伸びないもっとも大きな要因はやはり保険料が高いことではないでしょうか(⇒地震保険の加入率)。
2017年(平成29年)1月より地震保険の保険料が改定され、2017年現在、一定の条件を満たせば以下の割引制度が利用できます。
割引 | 条件 | 割引率 |
建築年割引 | 昭和56年6月1日以後に 新築された建物 |
10% |
耐震等級割引 ※1 |
耐震等級1 | 10% |
耐震等級2 | 30% | |
耐震等級3 | 50% | |
免震建築物割引 ※2 |
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく「免震建築物」である |
50% |
耐震診断割引 ※2 |
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす場合 |
10% |
※1契約開始日が2001年(平成13年)10月1日以降。
※2契約開始日が2007年(平成19年)10月1日以降。
※「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」による住宅性能表示基準で定められた耐震等級(1-3)の評価を受ければ耐震等級割引の対象になり、免震建築物である場合は免震建築物割引の対象となります。
※所定の資料(建物登記簿、住宅性能評価書、耐震性能評価書など)を提出しなければ上記の割引制度は適用されません。
※上記の割引制度はどれか1つしか適用されませんし、火災保険の保険料は割引になりませんので注意しましょう!
地震保険の長期割引き | |
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上記の割引以外にも、地震保険の契約期間によって以下のように保険料が割り引かれるようになりましたので、1年契約よりも5年契約にすれば保険料が「11.0%」もお得となりますし、地震保険の保険料は今後も引き上げられる可能性が高いので、加入する場合はできるだけ長期契約することをオススメします(地震保険の契約期間は最長5年です)。
保険期間 | 長期係数 | 割引率 |
2年 | 1.90 | 5.0% |
3年 | 2.75 | 8.3% |
4年 | 3.60 | 10.0% |
5年 | 4.45 | 11.0% |
例えば、
「年間保険料:20,200円の5年契約」の場合、
・割引がない場合:「22,500円×5=112,500円」
・割引された場合:「20,200円×4.45=100,125円」
となりますので、5年間で約1万円以上お得となります。
※地震保険を長期契約する場合は、火災保険も長期契約しなければなりません(火災保険には火災保険の長期契約割引が適用されます)。